「バスケットが今、楽しくて」41歳の竹内譲次…“オンザコートフリー”となったBプレミアで増す存在感
◆■負傷者続出の大阪を支える41歳 「いやぁ、マジですごいですよ。29分ですよ。あの(ディフェンスの)プレッシャー、ヤバイですよ。かけられます? あんなに」
10月9日のアルティーリ千葉戦、大阪エヴェッサの藤田弘輝ヘッドコーチは、今シーズン最長となる29分39秒にわたってプレーした竹内譲次の働きぶりをそう称えた。
試合は90-97と敗れたが、一時は24点差をつけられ、前半を18点ビハインドで折り返す苦しい展開。それでも最後まで食らいつき、第4クォーターには1点差まで詰め寄った。身長207センチの竹内は無得点に終わったものの、ディフェンスでは220センチのカイ・ソットをはじめ外国籍選手にマッチアップ。インサイドで体を張り、リバウンドと守備でチームを支えた。
東海大学を卒業し、トップリーグでプレーして20年目、現在41歳。高校時代から双子の兄・公輔(宇都宮ブレックス)とともに存在感を示してきた日本人ビッグマンは、現在も第一線で戦い続けている。
その背景には、開幕から続いている大阪の苦しい戦力状況もある。新戦力として期待されたヴォーディミル・ゲルンが開幕前に負傷し、開幕6戦目のA千葉戦からはインサイドの大黒柱を担うセバスチャン・サイズも欠場。青木保憲ら日本人の主力選手数名も負傷離脱中と、万全とは程遠い状態にある。プレーできる外国籍選手は、新加入の得点源ジェイムズ・パルマー・ジュニアと、ゲルン離脱を受けて補強されたダモンテ・ドッドのみ。アジア特別枠のソン・ギョチャンは徐々に力を発揮し始めているが、インサイドではドッドと竹内にかかる負担が大きくなっている。
◆■オンザコートフリー時代の日本人ビッグマン [写真]=B.LEAGUE
今シーズンから採用されたオンザコートフリーでは、外国籍選手3名と帰化選手またはアジア特別枠選手1名の同時出場が可能となり、外国籍選手の影響力がより大きくなっている。その分、ケガによる離脱はチームにとって大きな痛手となる。
ただ、どんな状況であれ、竹内にとって目の前の試合で与えられた役割を全うし、勝利を目指すことに変わりはない。
「これだけ外国籍選手がケガするというのは想定外でしたけど、その状況でも試合をしなきゃいけないですし、残っている選手で、頑張らなきゃいけない。本当にそれだけです。外国籍選手2人がいないからあきらめるのかというと、そうじゃない。相手がオン4でも、やり続ければ、勝つチャンスは絶対に出てくる。藤田HCのもと、昨シーズンから残っている日本人のメンバーで、そういうカルチャーをずっと築いてきたので、(ケガ人が戻ってくるまで)しっかりやり続けたいと思っています」
開幕から7試合を終えた時点で、竹内の1試合平均プレータイムは23分48秒と、昨シーズンより9分50秒増加している。リーグ全体に目を向けても、日本人ビッグマンの活躍が目立つ。それぞれ背景は異なるとはいえ、アルバルク東京の平岩玄、宇都宮ブレックスでプレーする双子の兄・公輔らも、コート上で存在感を示している。
「もちろん、いいことだと思います。特に若いビッグマンは、やっぱり試合に出ないことには成長できません。数年前にオンザコートツーにルールが変わって、それ以降(出場機会に恵まれない)厳しい状況を経て、ずっと頑張ってきた選手たちがコートに出て、チームに貢献している。玄は自分がアルバルク時代に一緒にプレーした選手ですし、A千葉の渡邉(伶音)くんもうちとの対戦で頑張っていたので(7得点)、すごくうれしい気持ちがあります。ケガで離脱している川真田(紘也)くん(琉球ゴールデンキングス)も含め、日本代表に絡む若いビッグマンには、頑張ってほしいという気持ちは強いです」
◆■41歳で深まるバスケットの面白さ [写真]=B.LEAGUE
長く日本代表を支えてきた竹内は、出場機会を得た若いビッグマンたちの活躍を喜ぶ。一方、自身もまた、外国籍選手の起用が重視されるようになったリーグの変化を経験する中で、今、改めて感じていることがある。
「こう言うのも、本当に恥ずかしいんですけど」
照れ笑いを浮かべながら、こう続けた。
「本当にバスケットが今、楽しいんです」
竹内は長いキャリアを思い返しながら、その理由を説明する。
「若い時はまだオンザコートワンでしたし、その中だったら(高さ含めて)能力でやれてしまっていた部分がありました。その後、外国籍の選手が増えていくことで難しい部分も出てきましたが、Bリーグ開幕後はアルバルクという周りにいい選手がいるチームでプレーしていたので、自分の役割は決められていた部分がありました。それが悪いという意味ではありませんよ。ただ、いろんなバスケット、いろんなコーチの考え方に触れていくと、自分で判断すること、新しい発見があって、考える機会がすごく増えてきました。そういうのがすごく楽しいんですよね」
年齢を重ねても、オンボール、オフボールを問わず、バスケットの技術にはまだ学べることがある。竹内はそう感じている。
◆■“3番手”の想定を超えて [写真]=B.LEAGUE
Bプレミアという新たな環境を迎えるにあたり、この夏は自身の役割を見据えて準備を進めてきた。オフの補強を受け、今シーズンはインサイドの3番手としてプレーする心構えだった。
その中で磨こうと考えたのが、3ポイントシュートだ。インサイドの外国籍選手に相手のマークが集まれば、自分がオープンになる場面も増える。そうした機会に確実にシュートを決められるよう、練習を重ねてきた。
しかし、ケガ人の続出によって、想定していた役割とは異なる働きが求められた。その中でも、竹内は自分にできることを探し、コートに立ち続けている。
「プレッシャー、かけられます? あんなに」
A千葉戦後の藤田HCの言葉には、ベテランへの敬意と信頼、厳しい状況をともに戦う指揮官としての実感がにじんでいた。
大阪は12日のアルバルク東京戦にも敗れ、開幕戦に勝利した後、6連敗と苦しい戦いが続いている。それでも竹内は、与えられた役割に向き合いながら、新たな技術を学び、バスケットボールの奥深さを楽しんでいる。41歳の今も、その探究心が衰えることはない。
文=牧野豊
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