わずか5分で連結完了!? UDトラックスが日本初公開したトレーラ自動連結装置『KKS』を実際に試してみた!

トレーラ(被牽引車)は、トラクタ(牽引車)と連結して初めて機能する車両である。ほとんどの方は知らないと思うが、連結あるいは切り離しの作業には意外と労力と時間がかかる。UDトラックスは今年5月、この作業の大半を自動化する『KKS』をクオン・トラクタに搭載して日本初公開した。先日そのクルマに試乗して連結・切り離しを体験する機会を得た。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/フルロード編集部、ヨースト
オープン直後からドライバーと物流企業の視線が集まる
平床3軸セミトレを連結してバックするクオンKKS搭載車。この写真になにか違和感はありませんか?(ヒント:キャブの後)
今年5月に横浜で開催された「ジャパントラックショー2026」のいすゞグループ合同ブース。参考出品の自動連結装置『KKS』を搭載したUDトラックスの大型トラクタ「クオン」とその動画映像には、初日の開場直後から物流関係者やドライバーと思しき来場者の視線が集まった。
トラクタとトレーラの連結/切り離しでは、2本の圧縮空気供給用ホースと1本の電力供給兼通信用ケーブルの接続/取り外し、トレーラの前側にある「補助脚(ランディングギア)」の格納/展開、連結器に相当するトラクタ側の「第5輪カプラ」にトレーラ側の「キングピン」をロック/解錠(ロック側は自動)といった車外作業が必要で、15~20分ほどの時間が掛かり少なからず労力も伴う。
KKSはこれらの車外作業を自動化し、それに掛かる時間を5分程度にまで圧縮できるというものだ。現実的には降車しての点検・確認が必須になると思うが、連結・切り離し自体はトラクタに乗ったまま完了する。
開発したドイツ・ヨースト社のモデルケースによると、10~20kmほどの区間を往路と復路でそれぞれトレーラをつけ換えてピストン運行する場合、連結作業の圧縮によってその物流効率は飛躍的なレベルで向上し、わずか3カ月で投資を回収できるという。また欧州でもドライバー不足が問題だが、フランスではKKS搭載車のドライバーとして車いす利用者の起用を実現している事例もあり、現地で話題になっているとのことだった。
日本のドライバーも物流企業も目を奪われるわけである。
クオンKKS搭載車の第5輪カプラ(連結器)。カプラ直下にある板状のユニットがKKSのコネクタ。その中心にあるロッキングジョー(爪)の直前にキングピンファインダー(カメラ)があり、さらにカプラ内部には3つのセンサーとジョーを遠隔操作する空気圧シリンダが備わる
本当に5分で出発準備完了
クオンKKS搭載車に乗って連結作業中の筆者。KKSコネクタへの強い衝撃を避けるため、モニターでキングピン位置を注視しながら微速バックする。この際の12段AMT・エスコット-VIIのクリーピング機能も扱いやすかった
筆者の自動連結体験はUDトラックスの上尾本社テストコースで行なわれた。再会したクオンKKS搭載車とともに、平床シングルタイヤ3軸のセミトレーラが用意されていて、こちらにもトレーラ用のKKSを搭載している。
連結作業を簡単に記せば、先に車高調整機能でカプラ頂面をトレーラ底面にすり付けるような高さに合わせてからキングピンに向けて後進、カプラのロッキングジョー(爪)がキングピンをロックすると同時にホース/ケーブルの接続も完了し、スイッチ操作で補助脚を格納、そして車高を戻すというプロセスで、本当に5分ほどであっけなく出発態勢が整ってしまった。切り離しはジョーの操作などがあって若干違うものの、おおよそ逆のプロセスだ。
あっけない……とは書いたが、実際には、運転席内のKKSリモコンに表示される連結(または切り離し)のプロセスと表示色、スイッチを確認しながら一つ一つ操作を進めていくロジックになっており、ワンアクションでイージーに全工程完了ではなく、むしろ『慎重に自動化されたシステム』という印象が強かった。
そのためKKSの操作方法も心得ておく必要がある。今回はUD側スタッフのインストラクションのもとで操作したが、手順と表示を覚えれば決して難しくはなさそうだ。
少なくとも、トラクタの踊り場に登ってホース/ケーブルを着脱する作業と、クランクハンドルを回して補助脚を格納・展開する作業と、カプラのロッキングハンドルを操作する作業に比べれば、エアコンの利いた車内に座りながらKKSリモコンを操作するほうがはるかにラクである。
KKSリモコン。表示の点灯または点滅と灯火色を見て一つ一つ操作を進める。確認のたびにOKスイッチを押す。またスイッチは確実に押しこむ必要があり、意図的に硬い感触になっているようだった
ISOで国際標準規格化
KKSのコネクタ本体。中央の5つの穴はガイド孔、その左右一対の金属色キャップがサプライラインとコントロールラインの圧縮空気用、さらにその左右に電力供給兼通信用の30pin電極を設置。この配置はISO13044として国際標準規格になっている
2022年に欧州市場で正式発売されたKKSだが、最初のコンセプトは2004年秋のハノーバーIAAで公開され、2014年には量産モデルが完成していた。だがISOにかつてなかった自動連結装置の国際標準規格を制定するのに長期間を要し、ようやく市販が可能になったという経緯がある。
実は筆者も、かなり前にハノーバーIAAでKKSの現物を見ており、機能概要も知っていた。しかし商品として発売したという話がいっこうになかったのは、ISO規格化が原因だったのだ。
このISO規格(ISO13044)では、ホース/ケーブルを一体化したコネクタ仕様が国際標準規格として採択された以外にも、自動連結装置とともに現在のホース/ケーブルも併せて装備することとし、故障時への備えとともに、非自動連結のトレーラも牽引可能とするよう義務付けられている。
そのため、もし連結車ユーザーがKKSを導入したとしても、いままで通り従来の連結・切り離し作業を身に着けておかなければならないので、今後も新人ドライバーへの指導は不可欠だ。いっぽうでトレーラの自動連結化は将来、自動運転あるいは無人運行の実現で直接関わる技術にもなっていくだろう。
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