フェルスタッペンのシンガポール初制覇をチームも喜ぶ「君の声が聞こえなくて残念だが」【F1第17戦無線レビュー(2)】
2026年F1第17戦シンガポールGP。レース序盤から無線のトラブルに見舞われていたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、後半に入ってもトラブルは解消せず、チームとうまくコミュニケーションを取れない状況が続いていた。そんななかレース終盤には、レースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼが機転を利かせたやり取りでフェルスタッペンの意志を確認したのだった。シンガポールGP後半を無線とともに振り返る。
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F1第17戦シンガポールGPのスタートでふたつ順位を上げ、しばらく8番手を走っていたニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)。レース中盤の30周目あたりに、前後のマシンがピットインを繰り返すなか、順位がわからなくなっていた。
35周目
ヒュルケンベルグ: 今、どういう状況だ?
スティーブン・ぺトリック: P9だ。(ジョージ・)ラッセル、(アイザック・)ハジャーとレースをしている。
2026年F1第17戦シンガポールGP ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)
最終的にヒュルケンベルグはふたりを抑え、8位入賞を果たした。
レース序盤のペースが伸びず、3番グリッドから一時は7番手まで順位を落としていたルイス・ハミルトン(フェラーリ)。しかしソフトタイヤに履き替えてからは、本来の速さを取り戻し、4番手に。だがすぐ前のシャルル・ルクレール(フェラーリ)のペースには敵わない。
36周目
カルロ・サンティ: チャールズ(ルクレールの愛称)はペースを上げようとしている。だが彼はプランCで、僕たちはプランBだ。
ハミルトン: レース終盤の彼のペースは?
サンティ: I(アイ)36だ。
ハミルトン: 何? I(アイ)36って?
サンティ: ラップペースだよ、(1分)36秒5とか、36秒7とか。
ハミルトン: タイヤが新しいからだろ。
ランド・ノリス(マクラーレン)がピットインし、ルクレール、ハミルトンは2、3番手に上がった。背後のアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)に、フェラーリほどのペースはない。
37周目
アントネッリ: クルマをチェックしてくれ。最終コーナーの挙動が変だった。
ピーター・ボニントン: いや、大丈夫。問題ない。
この周、ランス・ストロール(アストンマーティン)がエスケープゾーンを直進した。
スティーブン・グラス(→ストロール): 後ろからラッセルが来る。注意しろ。
ストロールはいったんはコース復帰したが、すぐにリタイアの指示が出た。
グラス(→ストロール): クルマを止めるんだ。クラッチに問題だ。
A clutch issue has ended Stroll's race
VIRTUAL SAFETY CAR #F1 #SingaporeGP | LAP 39/62 pic.twitter.com/eXQcCGYcPw
— Formula 1 (@F1) October 11, 2026
再びVSC(バーチャル・セーフティカー)が出て、ルクレール、アントネッリらがピットに向かった。しかしタイヤが厳しいはずのハミルトンはステイアウトした。
フェルスタッペンは首位をキープ。彼の声は、ほとんど聞き取れない。
フェルスタッペン: #$%&@*
ランビアーゼ: マックス、こちらからアップデートを伝える。ルクレールがピットインしてソフト。アントネッリもピット。ソフトだ。ハミルトンはステイアウトした。
フェルスタッペン: &%$#
ランビアーゼ: 全然聞き取れない。今、我々がピットインしたら、ハミルトンの後ろだ。
フェルスタッペンは結局、そのまま走り続けた。
40周目。6番手走行中のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が、トラブルに見舞われた。
トム・スタラード: 右フロントのスローパンクチャーだ。すぐにボックスしろ。
ピアストリ: ボックスする。
2026年F1第17戦シンガポールGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
7番手リアム・ローソン(レーシングブルズ)とのタイム差が大きかったため、ピアストリはフリーストップに成功した。
44周目
サンティ: 僕らはプランBだ。
ハミルトン: ステイアウトできないのか?
サンティ: プランCには、6周足りない。
ハミルトン: 今の順位は維持できるのか? どれくらい失うんだ?
サンティ: (ピットインしたら)ふたつ失う。
ハミルトン: だったらステイアウトして、SC(セーフティカー)とかを待つのは?
サンティ: トライしてみよう。
52周目
ランビアーゼ: SCが出た際にピットインしたら、ルクレールの後ろになる。
フェルスタッペン: &%$#@*+
ランビアーゼ: それでもボックスを望むなら、何も言うな。ピットインしたくなければ、何でもいいから喋ってくれ。
フェルスタッペンは無言だった。
ランビアーゼ: 了解した。
With his radio barely audible, Max did his talking on the track #F1 #SingaporeGP @redbullracing pic.twitter.com/3BjPptnph3
— Formula 1 (@F1) October 11, 2026
54周目
ハミルトン: もうタイヤがない!
ほぼタイヤが限界のハミルトンに、ノリス、アントネッリが迫る。ハミルトンも必死に粘るが、54周目に次々に抜かれていった。ノリスは4番手に上がったものの、上位3台のペースについていけない。ならば後方のチームメイトを助けられないか?
Antonelli powers past Hamilton
This pass earned Kimi his 14th podium of the season #F1 #SingaporeGP pic.twitter.com/RmijAG2KUN
— Formula 1 (@F1) October 11, 2026
ノリス: 前の連中を捕まえるのは無理だ。だったら後ろを助ける方法は何かないか?
ウィル・ジョゼフ: 考えよう。
56周目
ピアストリ: 前の連中のラップタイムは?
スタラード: (1分)41秒0。バトルをしてペースを落としている。
カルロ・パセッティ: 青旗だ。後ろからルクレールが来ている。
セルジオ・ペレス: 了解。
しかしルクレールは、ペレスにブロックされたと感じたようだ。ようやく抜いたあと、こう皮肉った。
ルクレール: ペレスはまだレッドブルで走っているのか?
This moment between Charles and Checo #F1 #SingaporeGP pic.twitter.com/hOe9khkqA7
— Formula 1 (@F1) October 15, 2026
アントネッリはその後も、コース逸脱が止まらなかった。
ボニントン(→アントネッリ): トラックリミット、トラックリミット、トラックリミット!
ジョゼフ(→ノリス): アントネッリは3ストライクだ。5秒以内に留まれないか?
もしアントネッリに5秒ペナルティが科され、ノリスがアントネッリの5秒以内の位置でフィニッシュした場合、ノリスは3位表彰台に上がることができる。しかし結局ペナルティは出なかった。
フェルスタッペンは一度も首位を譲らず、シンガポールGP初優勝を果たした。
ランビアーゼ: ずいぶん時間がかかったが、ついにやり遂げたな、マックス。
フェルスタッペン: #$%@&+
ローラン・メキース代表: よくやった。君の声が聞こえないのは残念だが、スタッフ全員が勝利を讃えて叫んでいるぞ。
Finally, Max gets his win in Singapore #F1 #SingaporeGP pic.twitter.com/fvq58xxrHA
— Formula 1 (@F1) October 11, 2026
フェラーリ勢は、くっきりと明暗が別れた。
ルクレール: いい戦略、いいタイミングでピットインできた。
ハミルトン: みんな、申し訳ない。僕が選んだ戦略、僕のコールで、貴重なポイントを失ってしまった。次のレースで取り戻すよ。
2位表彰台のルクレールの陰で、6位に終わったハミルトンは自らの決断を悔いていた。
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