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映画の空想が現実に。デロリアンが米国代表として世界初の空飛ぶレースへ参戦

スクリーンを越えて大空のグリッドへ。デロリアン「DMC-12」が40年越しに果たす飛翔の約束

デロリアン モーター カンパニーは2026年10月13日、サンフランシスコで開催されたTechCrunch Disrupt 2026において、電動の空飛ぶクルマで争う世界初のレース「エアスピーダー・インターナショナル・シリーズ」への参戦を発表した。米国チームのコンストラクターとして「デロリアン・エアスピーダー・チーム」を編成し、2026-27シーズンが開幕する2026年11月にレースデビューを迎える。

映画で一世を風靡したデロリアンの新たな挑戦

デロリアンの名前が、路上ではなく空のレースグリッドに並ぶ。エアスピーダー・インターナショナル・シリーズは電動推進、先進的な飛行制御、AIを用いた安全システムの上に成り立つ競技で、デロリアンはそこへ米国初のコンストラクターとして加わる。世界各国のナショナルチームが顔をそろえる初の国際シーズンが、デビューの舞台になる。

機体のデザイン、パイロットのラインアップ、スポーティングプログラムは、開幕戦を前に明らかにされる予定である。ステンレス製ボディとガルウイングドアを備えたデロリアン「DMC-12」が世に出てから40年あまり、空を飛ぶ姿は映画やイラストの中だけのものだった。その図像が、競技の現場へ持ち込まれる。

デロリアン モーター カンパニーで最高ブランド責任者を務めるキャメロン・ウィン氏は、参戦の動機をこう説明する。

「デロリアンは常に、移動のあり方を違う形で思い描く勇気を体現してきた。人々は40年にわたって空を飛ぶデロリアンを思い描いてきた。想像のままにしておく時期は終わったと判断した」

シリーズを率いるエアスピーダー創設者兼CEOのマット・ピアソン氏も、米国ブランドの参入を歓迎している。

「デロリアンは元祖“空飛ぶクルマ”のブランドだ。誰も実物を作っていないころから、空を飛ぶデロリアンの姿を世界中が知っていた。偉大なレースシリーズは、参戦を決めたコンストラクターによって性格が決まる。初の国際シーズンに米国のアイコンが並ぶことが、この競技の向かう先を示している」

デビューシーズンの2026-27は共通仕様のエアスピーダーMk3Cで挑む

初年度に使われる機体は共通仕様である。エアスピーダー・インターナショナル・シリーズでは、各国のナショナルチームが電動垂直離着陸機(eVTOL、滑走路を使わず垂直に離着陸する電動航空機)を駆り、従来のサーキットを周回する代わりに、電子的に設定されたコースを三次元で飛ぶ。路面に引かれたラインではなく、空中に設定された仮想のゲートが走路を形づくる。

デロリアン・エアスピーダー・チームがデビューシーズンに使用するのはエアスピーダー「Mk3C」で、デロリアンはそのデザインアイデンティティを主導する立場にある。機体の基本パッケージは他国チームと共通で、デロリアンが担うのは外観とブランドの表現という役割分担になる。

ちなみに、ステンレスのボディパネルを採用したDMC-12と異なり、機体の外板はカーボン製だ。DMC-12を思わせるヘアライン調のシルバーは、カラーリングによるものである。

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2027-28シーズンの機体はカリフォルニア大学やジョージア工科大学の学生チームと開発

コンストラクターとしての関与は、2年目から一段深くなる。2027-28シーズンに投入される「デロリアン・エアスピーダー」は、カリフォルニア大学やUCバークレー、ジョージア工科大学をはじめとする米国各地の大学の学生エンジニアリングチームと共同で設計される。レース機体の開発そのものに、米国の工学・デザイン分野の若い人材を引き入れる構想である。

1年目はブランドの旗を立てる段階、2年目の2027-2028年シーズンは全米の大学と組んで機体設計に踏み込むと、コンストラクターとしての関与を一歩ずつ深める計画が進行している。

デロリアンが空飛ぶクルマのレースに参戦する狙いと規制・安全の枠組み

参戦の目的は、話題づくりだけにとどまらない。ウィン氏は、モータースポーツがモビリティブランドにとっての実証の場であり続けてきた点を挙げ、競争が開発サイクルを圧縮すると説明する。システムは公開の場で試され、チームは短期間で学習し、性能は緊張下で測られるという考え方だ。

エアスピーダーとのパートナーシップを通じて、デロリアンは飛行体を支える技術だけでなく、その社会実装に必要な規制・安全・コンプライアンスの枠組みづくりにも関わる姿勢を示している。空飛ぶクルマの普及そのものはまだ先の話で、早い段階から関与することに意味があるという立て付けである。

エアスピーダーは、自動車がそうであったように、電動の空飛ぶクルマもレースの重圧と視線と見世物性のなかで鍛えられるべきだという発想から生まれたシリーズだ。電動推進、飛行制御、機体間通信、シミュレーション、AIを用いた航空技術が、競技という高負荷の環境で試される。デロリアンにとっては、電動飛行が試作品から製品へ移る局面に立ち会える場になる。

このレースプログラムは第1章にすぎず、コンストラクターとしての関係がどこへ向かうのかは、今後数カ月のうちに両者から順次明らかにされる。タイムスリップこそまだできないものの、映画のなかで空を駆けたデロリアンの世界は、いよいよ現実のものになろうとしている。

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